介護施設としての施設基準を満たすことを優先する一般的な建築プランではなく、秀峰会が目指す〝オンリーワンの介護〟を具現化しました。それは入所者自身が自己決定権を持てる、そして誇りと尊厳を大切にする――という秀峰会の理念に基づいています。
建築計画は、まず介護のソフト面ありきの観点から、週1回の建設委員会を2年に渡り行い、スタッフの方々の目指す介護とそれを実現するためのハード面をとことん話し合って模索しました。その結果、個別ケアができるユニット型を採用、療養室は施設基準の2倍の広さを有し、入所者がいつでもシャワーを浴びられるように各室にシャワー・トイレを完備したサニタリールームを計画しました。これは福祉先進国スウェーデンへ研修のため、毎年派遣されたスタッフが自ら体感し得てきた考えに基づくものです。こうした建築計画は建設委員会で議論し尽くされたエビデンスによって構築されています。
現在働くスタッフの方々からは〝どこもかしこも温かい雰囲気がある〟という感想を頂いております。また、再生可能エネルギー有効利用の観点から屋上を太陽光発電パネルで覆いました。地域社会への姿勢として、省エネへのプロパガンダの役割も負う建築物となっています。